人間にはそれぞれ気質というものがある。それを分類し指針にするための私の基準を士農工商理論と呼ぶ。人には、大きく分けて士族・農民・職人・商人・文化人という属性がある。文化人は取り扱いが難しいので、ここでは士農工商の四つを基本として考えるべし。

士族。それは戦い、争うことに特化している。現在では政治家が代表格だが、多くは他の職業でも主に争うことを担当している。面白いのは私の指針で考えると暴力団も士族に分類されることだ。彼らは問題を解決しようなどとは思わない。自身が争いの場に居る事、今後も居続ける事、そして争い続けられることを第一に考える。

現在の政治を見てもわかるように、政治家はいつももめている。揉めないで済んだ試しはない。また揉める物が無くなると新たな問題を呼び出し揉め続ける。選挙制度も詰まる所、いかに合法的に争いを行うかというシステムであり、名誉や金などの要素を含ませ、士族の気質をよく反映し現在の仕組みに収まっている訳である。

士族気質はむしろ普通の社会に多くいる。彼らはそれぞれの仕事をする中で、モノの判断基準を自身の自己顕示欲を満たす事に置いている。争い勝てば自己顕示欲は満たされる。一方負けが続くと社会から脱落し荒れた生活を送る。その様は落ちぶれて野武士になった薄汚い山賊の如しだ。

農民。それは育て、世話する事に特化している。作物や家畜を育てるだけではない。人を育て世話することも多い。農家は言うまでもないが、他には保育士、介護士などもその代表格である。面白いことに彼らが得意とするのは終わりのない仕事である。彼らにとっては、今現在が何より大事であり、現在過去未来、ずっと今のままで居たいと思っている。

農業に話を絞ると良く分かる。彼らは毎日毎日畑へ出て作物の世話をする。そして高齢になっても体の動く限りは世話をし続ける。終わりのない仕事を可能な限りやり続ける。また今を大切にしすぎるあまり変化に弱いという特徴がある。農業改革やTPPなどには拒否反応を起こす。経済学の観点やITの活用などを考えれば農業はもっと効率化出来る筈だなどと言う人がいるが、それは土台無理な話である。彼らが求めるのは安定だ。

職人。それは作り、工夫する事に特化している。職人気質の人間というのは、一般的にイメージできる職人の姿その物である。彼らは常に最高の仕事をしようとし、仕事にこだわりとプライドを持っている。また士農工商理論の中で唯一、物事を根本的に解決できる気質である。工夫や試行錯誤を苦にしない、クリエイティブな人材である。一方、職人は士農工商理論の中で一番とっつきにくい性格をしており、その為に最高の仕事をしても正当に評価されず苦しむことがある。良い面と悪い面が両極端ではあるが、良い仕事をするのであれば大事に扱いたい人材だ。

商人。それは商いと人付き合いに特化している。お金を始め、人付き合い他様々な事柄を損得勘定で考える。注意したいのはビジネスマンやサラリーマンでも必ずしも商人という訳ではなく、今日の経済を担う人には、他の気質を持った多くの人が流入する事態となっている。商人は、損得勘定という考え方で全ての事が解決出来ると思っている。物、金、人を扱う上で常にリスクを計算し、価値が無くなれば例え相手が人間でも容赦無く見限る。現在、リストラやブラック企業が蔓延しているのは、この気質あってのものだ。彼らは人付き合いが上手く、他の気質の人を上手にコントロールするが、影では悪口を言われたり、また言ったりするタイプである。

士農工商理論では文化人を除き基礎四気質それぞれに上下関係は認めないが、一定の相性はあると考えている。士族は金を得るために商人と連携し、商人は品物を得るために職人と連携する。職人は農民の仕事を解決し、農民は安定を得るために士族に取り入ろうとする。良い悪いという話ではなく、あくまで特性・気質の分類だ。

また人々の現在の仕事と各気質は一様には一致せず、同じ職種であってもそれぞれの気質の人間がせめぎ合い協力しあい社会を構成している訳である。ただやはり自分の気質と合った仕事に就く事が望ましく、合わない仕事は避けた方が自分の力をより発揮できるようになるだろうと思う。

この気質の分類が何の役に立つのかというと、実のところあまり役には立たない。ただ漠然とした状況に実に上手く理由付けが出来るという程度のものである。またそれぞれの気質はお互いに相容れない性質のものであり、職人気質でかつ商人気質であるということは起こらない。自分が複数の要素を持っているような気がしても、分解し突き詰めていけばいずれどれかの気質に当てはまるはずだ。ただ難しいのは他人の気質を読み取ることで、これには人を見る確かな目が必要であり、ヒトの本質、モノの本質をよく理解していないと、まったく的外れな結論を導きかねない。注意されたし。

さてまだ説明していない文化人については「文化人編」で詳しく記そう。摩訶不思議な文化人の気質を説明する事こそが、この士農工商理論の目指すところである。