2015年4月24日、私は酷いストレスに悩まされていた。世間では皆、焼肉食って合コンやって酒飲んで、楽しく愉快に人生を謳歌しているというのに、私は現状、家で病状をコントロールする事に専念するしかない。病人としての人生は完全に行き詰まっており、自分の人生に対して『満たされない思い』が募り、私のもやもや感は遂に限界に達した。

夜の九時。私は居てもたっても居られなくなり、iPhoneと財布と鍵だけを持ち、着るものも着ないで家を飛び出した。まず上之島神社にお参りをし、神様に「ちょっと修行に行ってきます。」とだけ伝え、怒りに任せて大通り沿いを歩き出した。

この夜はとにかく歩いた。府中市の自宅を徒歩で出発し、府中市を出て、国立市を過ぎ、立川市を過ぎ、昭島市へ突入した。途中のコンビニで体力を回復しつつ、ただひたすら歩き続けた。漠然と青梅市へ行ってみようという思いはあったのだが、歩きに歩いて遂に体力は限界へ。結局拝島駅でストップする事になった。かれこれ五時間ぶっ続けで歩き続けた訳だ。体力のない私にとってこれは正に行軍であり、確かに厳しい修行にはなった。

拝島駅、時刻は午前二時。当然電車はなく、駅前で始発待ちする事になった。汗だくだくで手ぶら、髪の毛もボサボサの不審者と化した身なりで駅前に座り込む自分の姿は、なんだかヒッピーだった頃のスティーブ・ジョブズにでもなったような心持ちで愉快であった。

朝四時半、駅のシャッターが開き、晴れて電車に乗って帰宅する事が叶った。人間というのは面白いもので、持ち物もなく、身なりもボロボロで、怒りに任せて歩き続けると、人の目が気にならなくなる。ボロボロの姿で通勤客に混じっていても、特に恥ずかしいとは思わなかった。今回の経験は、体力の限界とも相まって、自分の限界に挑戦するという意味ではとても良い精神的な修行になった。妙な充実感もあり、昨晩とは違って晴れ晴れとした気分になって家へ帰ってきた。

昨晩の修行で一番嬉しかったのは、午前一時に母から電話がかかってきた事だった。電話の向こうには弟も居るらしく、家族の声を聞いて私はなんだかとても安心した。「こんな時間にどこに行ってるの!?」と電話口では怒っていたけれど、本当は心配して電話してきてくれたのだと分かった。私は病気と一人で闘っているように思っていたが、実は一番身近に、共に戦ってくれ、私を支えてくれている人が居る事を、私はこの時身にしみて認識した。母と弟には感謝である!!

追記・手持ちのiPhoneによると、五時間の間に、なんと二万二千歩も歩いていた。

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