断薬中に経験した不思議体験を書こうと思う。その前に予備知識として私が以前よく見ていた夢を紹介したい。
真っ白な広い部屋の大きなベッドの上で目覚める。ベッドとグランドピアノしかない。窓には白いレースのカーテンが掛かり、心地よい風と太陽の光が燦々と降り注ぐ。ピアノに手を触れると同時に扉から母と弟が入って来て「お帰りなさい」と言う。
これは死後の世界か?
何にせよこの夢は私の隠された内面の全てが出ている。白い部屋もそよぐ風も日の温もりも私の価値観に忠実だ。そして極論、私はベッド・ピアノ・母・弟が全てなのだ。他には何も要らない。 「お帰りなさい」と言うのも、現世の苦しみが夢オチであってほしいと願う私の深層心理を反映したものだろう。
上記のツイートに書いた事は、私の人生観そのものだ。おそらくここで書かれた世界というのは天国なのだろう。天国のベッドの上で観ている夢が現世なのだろう。そして私は学ぶ為にそこから来ている訳で、この世での私というのはかりそめの姿であるのだろうと思っている。
そして今回の断薬中に経験した夢とも幻とも言えない不思議体験が以下の様なものである。
『もう駄目だ』と絶望していた。様々な離脱症状の苦しみがピークに達し、衰弱しきった私は昼頃布団に倒れ込みそっと目を閉じた。
すると見えた世界は以前も夢で見たことのある世界で、真っ白な部屋で、日の光が燦々と降り注ぎ、ベッドとピアノしかない場所だった。私はベッドで寝ており、夢の中での断薬の苦しみに耐えかねていた。
ふと窓際に意識をやると、日の光の中に椅子に座った女性がおり、本を読んでいる。若く見えたが年齢は分からない。彼女はパタンと本を閉じると、ベッド脇に来て寝ている私を覗き込み「頑張って!」と優しく囁き、そっとキスをして、また窓際に座り本の続きを読み始めた。
私は『一人で闘っている訳ではないんだ』と心の底から安堵し、現世でもいつの間にか眠りについていた。
以上が私の不思議体験である。このストーリーだけ読むと『ただの夢だったんじゃないの?』と言われてしまうかもしれない。だが、『心の底から安堵』というところが、今までに経験した事のない特別な体験だったのである。この時の私が、断薬の苦しみで衰弱しきっていたという事を、再度思い出して欲しい。そのどうしようもない苦しみが、あちらの世界で瞬時に癒されたという体験だったのだ。
彼女が何だったのか、それは未だに分からない事なのだが、味方であるという事だけはハッキリしている。現に癒してくれた訳なのだから。私にとっては特別な存在だ。
その後の断薬の苦しみに耐え続けられたのは、この経験のおかげである。どんなに辛くても、彼女の『頑張って!』という言葉を思い出すと、なんとかなった。断薬は、結果3種類の薬が断薬でき、割と短い期間(と言っても物凄く長く感じたが)で離脱症状は治まった。私の主治医も、私の離脱症状が治まっている事にとても驚いていた。
一番苦しい時に癒しをくれた彼女には、いくら感謝してもしたりない。本当に救われた。この場で改めてお礼を言いたい。
ありがとう・・・。