世の中の人々というものは、突き詰めて考えると「優」か「劣」かの二択でしかモノを考えることが出来ないらしい。実に不憫なものである。その様はある種の強迫観念の様相を呈しており、他人を劣だとして見下し、自分を優であると頑なに盲信する。学歴や収入、クルマ選び、恋愛、その他様々なことに対して自らが優でいられる根拠や情報を渇望するその様は、私から見れば異常であるとしか言いようがない。
しかしそのような人間ばかりが出来上がるのは当然でもある。子供の頃からテストの点数を気にして育ち、受験戦争の結果をもってして自分の社会的地位を自覚する。恋人を選ぶ時にもこの優劣的思考回路は機能する。また就職活動やその後の会社での役職などなど、この世に人として生まれた以上、常に優劣を意識せざるをえない状況下で生きてゆくことになる。
それ自体は別段悪い事ではないのかもしれない。言ってみればこれが競争本能の正体であり、それが今日の経済を回している力でもある。でも少しばかり、いや、かなり行き過ぎではないか。