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リハビリのための朝活

コンビニの朝飯
コンビニの朝飯

メンタルをやられると、とにかく外出が苦手になる。どう苦手になるのか理由をひとつひとつ説明するのも面倒なほど、ありとあらゆる面で外の世界に違和感を感じ、そして疲れる。とにかく外が嫌になるんだ。だからメンタルをやられると多くの人が家に引きこもりがちになる。私もその一人だった。

そんな現状を打破すべく、何か良いリハビリはないかといろいろ考えたりするものの、世の中にそんな都合の良いものがある筈もなく、ただ時間だけが無駄に過ぎて行く。そして焦りが出る。これはメンヘラあるあるかもしれない。

私が過去にやった作戦の一つに『朝ファミレスへ行く』というものがある。当時の私は外出がとにかく苦手だったのだが、人が少ないところだったらなんとか行けた。で、そんな時に早朝のファミレスには誰も居ないという事を発見し、それに目を付けた。もちろんこれは住んでる街によって事情が異なると思うので、これはあくまで私はこうだったというだけの話になってしまうが、とにかく朝、頑張って起きて、ファミレスに行く。それで朝ごはんを食べて帰ってくる。そんなミッションを自分に課し、それを半年ぐらい実行してみた。(もう10年くらい前の話だ)

注文するのはいつも同じで『トーストセット』だった。これは、厚切りのトーストとジャム・マーガリン、それに茹で卵と、ドリンクバーがセットになったシンプルなメニューで、確か400円くらいだったと記憶している。とてもリーズナブルだ。

客は、広い店内に私を含め数人しかいない。いつ行ってもそうだった。外の世界が苦手な私でも、とてものんびり出来る環境が店内には整っていた。これはとても良かったと思う。

窓の外を朝の通勤客がぞろぞろ歩いて行くのを余所目に、のんびりトースト食ってコーヒー飲んでいる精神障害者がいるというのは、世の労働者の方々が聴いたらイラつくシチュエーションなのだろうと思う。私も申し訳ないと思っていたが、私にとってはこれも立派なリハビリだ。生きる為の訓練なのだ。そこは大目に見て欲しいと思う。

で、驚いた事にこのリハビリは結構長続きした。おおよそ半年ぐらいだろうか。

それで私が毎日毎日朝の同じ時間に行くものだから、ウェイトレスのお姉さんとも顔馴染みになってしまい、そのうち「いつものですか〜?」「いつものでーす!」というやり取りだけでトーストセットが出てくるようになった。外が苦手でコミュニケーションも苦手なメンヘラにここまでの変化が現れたというのが、まず一つの大きな成果だったと思う。リハビリとしてうまく機能していると感じた。

ファミレス作戦がうまくいったので、その後その舞台をマックへ変えてリハビリを継続した。その時はちょうど朝マックのCMが流れている時期でもあったので、私が毎朝来ても変に思われることはないだろうとの判断だ。それにマックはファミレスより混んでいる。リハビリの負荷を少し強めるにはちょうど良いと思った。

この朝マック作戦は数ヶ月間続いたし、値段も安く済み悪くはなかった。だが、マックは人の出入りが激しいので、店内でゆっくりする事ができず、次第に足が遠のいてしまい、最終的に行かなくなった。

コンビニの朝飯
コンビニの朝飯

マックへ行かなくなってそれで終わりかというと、そうではないのだ。これは今現在の私の習慣なのだが、私は毎朝コンビニへ行って、おにぎりと100円コーヒーを買ってきて食べるというのを日課にしている。おにぎりといっても高いやつではなく、2個セットになっていて、しっとり海苔で、具がほとんど入ってなくて、たくあんがちょっと添えてあるような、198円の安いおむすびセットである。

メンヘラにとっては、とにかく朝起きるという事が何よりも大事になる。そして学校や会社などの縛られるものがない生活を送っている以上、なんらかの口実がないと朝起きる習慣を維持するのは難しい。なので私はコンビニへ行く事に決め、そしてそれを継続し続ける事で、良い生活習慣を維持し続けられるように工夫している訳なのだ。

10年前に始めた朝活が今もこんな風に生きているのは我ながら凄いと思う。もちろん病状が悪い時はそれが出来ずに中断した期間というのも結構ある。が、それでもこれは継続すべき意味のある習慣だったと感じる。リハビリの効果は確実にあったし、そういった工夫や努力が、今の自分に繋がっている実感もある。後からみてみれば、それははっきりと分かる。

後日談として一言記しておくが、当時の私が悩んでいた『外が苦手』と『人が苦手』という課題は、今では全て解決済みとなった。これもリハビリの効果だろうか。今は病気の症状(陰性症状も陽性症状も)もなくなっているので、かなりのんびりとした平和な暮らしを送れるようになっている。めでたしめでたし。