病気になるとあらゆるモノがうまくいかなくなる。それは仕事や学校などの社会生活から、プライベートな事柄、日常の身の回りの事まで、本当にすべてがおぼつかなくなってしまうのが闘病生活の辛いところだ。特に闘病生活が長引けば長引くほどそれは顕著となり、最終的には『八方塞がり』という状況に陥ってしまう。こうなると、もう『病気を治す』とか『人生と闘う』なんて次元は通り過ぎて、ただただ『病苦に耐える』という悲劇的な領域に入っていく事になる。これは想像を絶する苦しみだった。
過去、その状態に陥った時の私が、最後にすがったモノ、それが『落語』だ。布団から出れない、部屋に閉じこもってばかり、といった状況下での唯一の娯楽が落語CDを聴く事だったのだ。