Press "Enter" to skip to content

火事は小さな火から順に消していく。コロナも同じ。

消防士の人が火事の現場で最も注意することがある。それは消したと思っていた火が、実はまだ消えていなくって、そのくすぶっていた火種が、再び燃え上がってくるという可能性だ。この鎮火不十分という状況は、それまでの消火活動を無にしてしまうだけでなく、その火事が新たな犠牲者を生みうる人災へと変貌してしまうという意味で、とても重大なリスクとなる。

この話、なにかに似てると思わないだろうか。私はこの話がコロナウィルスにも言えるのではないかと思っている。緊急事態宣言で一旦は鎮静化したと思われていたコロナウィルスによるパンデミックは、緊急事態宣言解除後に再び感染を急拡大した。これは明らかに鎮火不十分であったと言って良いように思う。もっと丁寧に火種を見極め、十分に鎮火するのを待つべきだった。あともう一ヶ月、緊急事態宣言を継続することができていれば、コロナウィルスは我が国から撲滅できていた。そのチャンスを無下にし、今日のような第二波の襲来を許したというのは、これは明らかに人災だったと言って良い。

海外の国では徹底的な対策が講じられている。長期に渡る都市そのもののロックダウンも継続しているし、海外の国々はとても理性的で、かつ科学的手法を重視していることが伺える。時の政権のさじ加減で指標が揺れる我が国とは大違いだ。でも、コロナはそういった国々でさえも完全には封じ込められてはいない。それだけこのウィルスが手強い相手だということだろう。そのコロナを相手にしているにも関わらず、我が国は経済優先を貫いた挙げ句がこのザマだ。そんな中始まったのが「Go To トラベル キャンペーン」で、正直これには失笑するよりほかなかった。

火事というのは大きな火を消しても意味がないのだ。まずは小さな火から順に消していかなくてはならない。というのも大きな火を消すために多大な時間とリソースを割いたところで、その大きな火が消える頃には、放置していた小さな火のほうが大きな火になってしまっているので厄介なのだ。これではなかなか消火が終わらない。なので火事のときというのは小さな火から順に消していく。これが消火の鉄則だ。これをコロナの話に置き換えてみよう。

緊急事態宣言明けは、いわゆる夜の街と言われる歌舞伎町周辺がコロナウィルスの火種として問題視されていた。なので世間の人たちは夜の街さえ封じ込めれば事態は収束できると安易に考えていたようだが、現実はもっと残酷だった。実は火種は全国各地にまだまだ存在し続けていたのだ。なので緊急事態宣言明けからものの一ヶ月後には東京だけでなく名古屋・大阪などの大都市から、ほぼすべての地方都市に至るまで、毎日のように感染者が出続けるような状況になった。これは歌舞伎町から全国に広まったというわけではなく、もともと地方に残っていた火種が、再び燃え上がっていったものだと考えられる。小さな火を放置した結果、以前より状況は悪化してしまったのだ。

地方都市というのは緊急事態宣言中は感染者数がゼロだったところがほとんどだった。その地方都市を守りきれなかったというのは、とても残念なことだ。火事の例えを思い出してほしい。小さな火種を放置すると再びそこから燃え上がってくるというのが火事の恐ろしいところだ。今回のコロナ騒動も、それと全く同じことが言えるのではないだろうか。鎮火不十分という状況と、そもそもコロナをナメてかかって経済を優先しようとしたところ、科学的なプロセスを軽視し、政治家のさじ加減で政策を決定し推し進めたところなどなど、我が国のコロナ対策は失策続きで、その結果、莫大な数の感染者を日々生み出すことになってしまったように思う。このような結果になってしまい、私はとても残念に思う。